施工技術

耐震補強(OFB工法、鉄骨ブレース無溶接工法)

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阪神・淡路大震災では、新耐震基準以前に設計された耐震性の劣る建物に甚大な被害が見られました。西武建設では、耐震性能を向上させる技術に積極的に取り組んでまいります。

OFB工法

従来の鉄筋コンクリート造の耐震補強は、柱・梁・耐震壁等の打増しやフレーム内に剛強な鉄骨ブレースユニットを増設する方法との併用が一般的でしたが、西武建設では既存躯体から片持梁などのブレース取付箇所を増設し、それに建物外側に設置したタイロッド(丸鋼)ブレースを接合することで耐震補強を行う工法であるOFB(Out Frame Brace)工法を安藤ハザマとの共同研究により開発しました。

これにより従来の工法では導入の妨げになる室内での大掛かりな補強工事を最小限に抑え、室内空間や採光環境を大きく変化させずに耐震補強を行う方法を提供することができるため、従来の方法では工事が難しかったお客様のニーズにお応えできるようになりました。

なお本技術は、(一財)日本建築防災協会の建築技術性能証明(建防災発第19108号)を取得しております。

OFB工法の特長

  • 耐震補強部材を建物外側に配置することにより
    1. 室内側での工事を最小限に抑えることができるようになる
    2. 補強後も室内に大きな変化は無く、ベランダ・廊下等の使用勝手にも影響がない
  • 耐震補強部材にタイロッドブレースを使用することにより
    1. 補強部材がスリムなので、室内の採光状況に大きな変化がない
    2. 補強部材による荷重の増加が少なく、既存建物への負担が従来の工法よりも少ない

OFB工法 接合部のディテール

ブレース取り付け部イメージ

OFB工法の実験

増設梁の斜め加力実験

増設梁の斜め加力実験の様子です。
増設梁と鉄骨ブレース間の応力伝達が確実に行われることを確認。

1層1スパン架構実験

1層1スパン架構実験の様子です。
外付けブレースの補強効果を1層1スパン架構にて確認。

OFB工法の適用実例

学校

老人福祉施設

鉄骨ブレース無溶接耐震補強工法

従来の鉄骨造におけるブレースを用いた耐震補強では、既存鉄骨柱と補強ブレースを繋ぐ部材(ガセットプレート等)を溶接で既存柱に接合する方法が一般的でしたが、火気を使用するため以下のような課題があり、適用が難しい建物が多く存在していました。

  1. 溶接火花が発生するため、厳密な火花養生が必要となる。
  2. 下向きの溶接姿勢がとれない場合、溶接部の品質が安定しない場合がある。
  3. 既存躯体の材質が溶接に適さない場合がある。
  4. 稼働中の生産施設においては防火対策を徹底することや、生産工程への干渉を最小限とすることが求められる。

そこで西武建設では溶接を使用せずに、補強ブレースを接合するための部材(ガセットプレート)と既存鉄骨柱を接着剤にて接合する耐震補強工法を安藤ハザマとの共同研究により開発しました。

これにより、火気厳禁な建物や終日稼働中の工場など従来の耐震補強工法で必要な溶接が使用できない建物でも耐震補強工事が行えるため、従来の方法では工事が難しかったお客様のニーズにお応えできるようになりました。

なお本技術は、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明第12-14号)を取得しております。

鉄骨ブレース無溶接耐震補強工法の特長

  • 耐震補強部材の接合に溶接を用いないことにより
    1. 火気厳禁な箇所や稼働中の工場などでも補強工事の施工が可能になる
    2. 火花が飛ばないため引火物の移動や大掛かりな火花養生・清掃等が不要になる
  • 耐震補強部材の接合に接着剤を用いることにより
    1. 溶接職人の手による施工が不要になるため品質が安定する
    2. 溶接に比べ施工時間が短縮する

鉄骨ブレース無溶接耐震補強工法のディテール

鉄骨ブレース無溶接耐震補強工法の適用例

工場・倉庫

在来工法(溶接)では、制限が多く、耐震補強が難しかった施設・部位等。

駅舎

終電から始発までの短時間で補強工事を完了する必要がある施設・部位等。

体育館

古い大空間屋根等で、水平ブレースの補強が必要な場合がある施設・部位等。

鉄骨ブレース無溶接耐震補強工法の適用例