施工技術

大型ツーバイフォー工法

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概要

西武建設の木質部門ではツーバイフォー工法のよる木造住宅を数多く手掛けていますが、これらのノウハウと、建築部門で培ったフレーミング技術を融合させるため、屋根部材の大型トラス化や壁部材の大盤化などの徹底した木構造部材のユニット化・造作工事の軽減化を行い、さらにツーバイフォー建築協会の「大臣認定耐火仕様」を取り入れることで、木造でも大型建築物が施工できる技術を確立しました。

これにより、木造建築の良さであるCo2削減といった環境面や温もりのある感触・造形美もありながら、断熱性・耐震性・経済性をも兼ね備えた大型木造建築物を提案できるようになり、多くのお客様のニーズにお応えできるようになりました。

特長

地震や台風に強い面構造

ツーバイフォー住宅の優れた特徴は、すべて「面構造」が基本となっています。
北米生まれツーバイフォー住宅では構造用製材でつくった枠組みに構造用合板を張り付けた「パネル」で床・壁・屋根を構成して建物を支えます。軸組工法は「柱」や「梁」などを点で結合するのに対し、ツーバイフォーエ法は「面と線」により6面体で、建物を支えているわけです。

6面体の構成
ツーバイフォー住宅

規格化された構造用製材

ツーバイフォー工法では、主に6種類の規格化された枠組壁工法構造用製材を使用します。それぞれの部材は、日本農林(JAS)規格によって厳しく品質がチェックされ、使用する箇所ごとに製材品の種別なども定められています。また、国土交通大臣が認定した海外の規格材も利用可能です。

最近では、北米で開発された木質複合軸材料のひとつである木質I型ビームや木質断熱複合パネルなども利用されています。

6種類の規格
ツーバイフォー工法の構造材の例

強さの秘訣はファイヤーストップ構造

ツーバイフォー住宅の場合、火の通り道となる床や壁の枠組材などが、ファイヤーストップ材となって空気の流れを遮断し、上階へ火が燃え広がるのをくい止めます。また床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部構造は、防火区域がいくつもつくられているのと同じ状態です。この一つひとつの区画によって火の進行はさらに遅くなります。火災時に防火被覆(せっこうボード)が万一突破されても、このように2重3重の防火機能をもつ「ファイヤーストップ構造」によって、ツーバイフォー住宅は初期消火の可能性が高く、火災時の被害を最小限に抑えます。

ファイヤーストップ構造

ツーバイフォー建築のストックはもう一つの森林

ツーバイフォーエ法のオープン化後30余年、解体されていないと仮定すると、既に180万戸の住宅ストックが国内に存在しています。
森林の樹木は地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)を吸収します。樹木はその成長にともないCO2の吸収力が衰えますが、成長した樹木を伐採し、それを生活に活かすことが木材を長くストックすることに繋がり、地球温暖化の防止に貢献します。

CO2固定のサイクル

更に、伐採地には計画的に植林することで、そのCO2固定のサイクルが循環します。今まで、都市防災の観点から木造建築に厳しかった防火地域にも、近年、ツーバイフォーエ法による耐火建築物が建設可能となり、コンクリートジャングルと呼ばれた都市にも、森林が育てた木材を建築物としてストックできることとなりました。

地球環境にやさしい木造耐火建築

住宅の地球環境への負荷を木造住宅とそれ以外の住宅工法とで比較すると木造住宅に優位性があることが分かります。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスに関し、資材生産過程でのエネルギー消費に起因する温室効果ガスをC02に換算して比較すると鉄筋コンクリート造、鉄骨造が木造のそれぞれ1.50倍、1.23倍あることが示されています。

資材生産過程で発生する温室効果ガスのCO2換算重量の工法比較

カナダ・アシーナプロジェクトによる232m2モデル住宅でのシミュレーション結果(出典:カナダ林産業審議会)

温室効果ガス換算グラフ

実例

特別養護老人ホームりんどう麻溝

神奈川県相模原市の高齢者福祉施設『特別養護老人ホームりんどう麻溝』は、住宅を中心とした木造建築物と、多種多用途な鉄骨造・鉄筋コンクリート造建築物の両方で多くの実績を持つ西武建設が、それぞれの部門のノウハウを出し合い、融合させることで施工を可能にした大型ツーバイフォーの物件です。

特別養護老人ホームりんどう麻溝

施工中の様子

ロビー・共同生活室